桜咲く4月は、社会人1年生らしい人の姿をあちこちで見かけるシーズン。思い返せば四半世紀前、私にも“フレッシャーズ”と呼ばれる時期がありました。大学卒業後、就職した先はS百貨店。着慣れないスーツ姿もぎこちなく、お客様への挨拶や手早くきれいに包装する練習など、百貨店社員としてのイロハを身につけるべく奮闘していた新入社当時を、つい昨日のことのように思い出します。
とは言うものの、フレッシャーズにあるまじき厚かましさもしっかり持ち合わせていて、まだ配属先の決まらない研修期間中から、上司に対して「食品に行けないのなら入社した意味がない」と放言する可愛げのない新人でもありました。会社のほうも、ファッションセンスのまるでない奴(私です)を服飾部門へ回す蛮勇は持ち合わせていなかったとみえ、研修明けには食品課への配属が正式に決定。最初は和洋菓子を担当していましたが、今度は「日本酒、日本酒」と念仏のごとく唱えていたおかげか、3年後には晴れて和洋酒売場へ。やがて念願のバイヤーとなり、全国のあちこちの蔵へ足を運ぶ機会にも恵まれ、種田山頭火の句ではないですが、「こんなにもおいしい酒があふれてゐる」の感を、ますます強めていったのでした。
・・・と、思い出話はここらで切り上げて、フレッシャーズの季節にふさわしく、皆さんにも少々“研修”を。前回は、「山廃」「生酛」「速醸」といった、いささかディープな造りの領域に踏み込んでしまいましたが、今回はより基本的な情報が並ぶ裏ラベルに注目してみましょう。
まず、原材料名や精米歩合、「アルコール度数」、「製造年月」などの表示が目に入るのではないでしょうか。ここまでは、酒税法により、必要記載事項として表示を義務づけられている範囲。さらに詳しく、原料米の品種や「日本酒度」、「酸度」、「アミノ酸度」、「使用酵母」、「杜氏名」などを列記しているラベルも少なくありません。
この一覧は、お酒にとってまさしく履歴書のようなもの。大まかな甘辛の度合いや、味わいのタイプを知る手がかりとなってくれます。ただし、実はどんな性格で、どんな隠れた魅力の、あるいは意外なクセの持ち主なのか、履歴書だけで見抜けない点は人間と一緒。入社当時の私も、ひょっとすると「あーあ、とんでもないヤツ採っちまったなぁ」と思われていたかもしれませんね。





