「マツザキさんは、どんな会場でもお見かけしますねぇ」
地方で開催される酒祭りから海外でのSAKEフェスティバルまで、日本酒関連のイベントで知り合いの方にお会いすると、感に堪えないといった調子でこう言われることがあります。おほめにあずかっているのか、はたまた呆れられているのか定かではないものの、イベント好きは自他共に認めるところ。とりわけ、各地で新酒の利き酒会が集中する3月~4月は、早くから手帳のスケジュールが真っ黒に埋まってしまいます。
利き酒会の楽しみは、なんといっても、さまざまなタイプのお酒を実際に舌で味わい比べてみることができること。初心者にはハードルが高そうに感じられる生酛や山廃と、飲みなれた“その他大勢”のタイプ(「速醸」系の酒母で仕込まれたものが多い)を、複数の銘柄ごとに飲み比べる機会など、そうそうあるものではありません。もうひとつの魅力は、一般に“蔵人”と称される造り手の皆さんと直に会い、話ができること。特に、春の時期に行われる利き酒会では、無事に造りを終えてほっと一息の杜氏さんがブースに立つことも多く、手ずからお酌していただきながら、新酒にまつわる話をあれこれ聞く贅沢にあずかれるかもしれません。
さて、ここで、利き酒会を上手に楽しむためのコツをいくつか。
まず、最初にリストをもらったら、蔵元や出品銘柄の顔ぶれをざっと把握し、優先的に試飲したい酒を絞り込んでおきます。複数の蔵元が集まっている会であれば、1社に偏りすぎないように、バランスよく。1社ごとにすべてのタイプを利こうとすると、途中であえなく撃沈となる可能性も大。「ご飲用は計画的に」が、利き酒会の極意です。
口にする量も最初から飛ばしすぎず、ひとすすりくらいの分量を目安に。悪酔い防止には“和(やわ)らぎ水”(日本酒の合間に水を飲む)が効果的。そのためにも、多くの会場では蔵元が持ち込んだ仕込水が用意されています。かく言う私自身は、実を言うと、利き酒中にあまり水を飲みません。というのも、水を口に含むと舌の温度が下がりすぎ、酒の微妙な味わいの違いを感知しにくくなってしまうから。そのせいかどうか、帰る頃にはシラフを装いつつも、実体は“レレレのおじさん”と化していることが、しばしば。よい子の皆さんはマネをしないでくださいね。





