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”マツザキ的”日本酒つれづれ用語帳 日本酒大辞典

【第4回】監修:松崎晴雄 文:堀越典子 新酒を買いに、いざ行かん!(酒選びレッスン実践編1) ※本文中の赤字の用語にロールオーバーすると解説が表示されます。

 つれづれなるままに日本酒をあれこれ語り、ついでに用語解説もしてしまおうというこのコーナーも、すでに4回目。今回はちょっと目先を変えて、酒屋さんへ日本酒を買いに行くシーンを想定した「酒選びレッスン実践編」とまいりましょう。

 なぜ、この時期にわざわざ日本酒を買いに酒屋へ?正月は終わったのに?花見の時期でもないのに?そりゃもう、この時期限定のお楽しみが、いろいろあるからに決まってます。

 お店の中に入ったら、まずは日本酒が並んでいる冷蔵ケースのほうに進みましょう。ちなみに、おいしい日本酒を買おうと思ったら、何より冷蔵設備をしっかり備えている酒販店を選ぶこと。これがイロハのイ。壁面は日本酒専用の冷蔵ケースで占められ、お酒に添えられた手書きのPOPには、データや味わいの特徴などの情報がびっしり。こんな店なら、まず間違いありません。

 さて、冷蔵ケースに並んだ面々を眺めていると、「しぼりたて」「初しぼり」「あらばしり」などの文字が目につきませんか。そう、2月・如月といえば、俗に槽口などとも呼ばれる、できたてホヤホヤの新酒がどっと市場に繰り出す時期。中でも、搾りはじめの最初に出てくるあらばしりは、舌先でピチピチ跳ねる発泡感、やや苦味ばしった味わいに、いかにも新酒らしい初々しさが弾ける酒。あらばしりに続いて出てくる透明な原酒「中取り」のような上質感には欠けるものの、粗削りな魅力がむしろ新鮮に感じられます。

「最後に出てくるとこは“責め”ってえんだけどね、こいつはまあ、出がらしみたいなもんだからなぁ、ほかのところと混ぜちまうの、フツーは。でも、蔵元が特別に責めのとこだけ詰めて送ってくれたのがあるんですよ。お客さん、飲んでみる?」

こんな具合に、日本酒好き、話し好き、試飲大歓迎の店主でもいれば、しめたもの。勧められるものはどんどん試飲し、アドバイスを上手に取り入れながら、この季節ならではのフレッシュな生酒を1本抱えて帰るのもいいでしょう。

最後は、店内を見回して、新鮮な酒粕が積まれていないかチェックを忘れずに。やはり、この時期限定で出回る大吟醸の酒粕は、搾りきらない状態で袋から出されるため、半液体状でフルーティーな香気がぷんぷん。料亭顔負けの粕汁や粕漬けを楽しむためにも、運よく残っていたら“お持ち帰り”必定の一品です。


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新走り

もろみを搾り、清酒と酒粕に分離する「上槽(じょうそう)」の過程で、最初に流れ出てくる原酒の呼び名。圧搾・上槽を行うとき、酒袋にもろみを詰めて槽(ふね:もろみを搾る木製の器械)の中に積み重ね、酒袋の重みで酒が自然に垂れるのに任せるのが伝統的な方法だが、最初に垂れてくるぶんは白濁を帯び、炭酸ガスが残っている。その粗削りながらフレッシュでハツラツとした風味と口当たりは、いかにも「荒走り」の呼び名にふさわしい。最近は、搾ったばかりで出荷される新酒全般の総称として「あらばしり(新走り)」の呼び名が使われることも多い。

槽口

文字どおりには、槽(ふね:もろみを搾る木製の器械)から新酒がしたたり落ちてくる、その口に当たる部分のこと。転じて、搾りたての原酒に加水も火入れも行わず、そのまま瓶詰めした生原酒の代名詞として「槽口」の表現が使われるようになった。「槽汲み(ふなぐみ)」「甕口(かめくち)」などとも呼ばれる。

中取り

酒を搾る行程で、濁りを帯びた「荒走り」に続いて流れ出てくる原酒。この段階では、もろみを入れた酒袋の目が詰まってくるため、垂れてくる酒の濁りもとれて透明に。原則的には人工的な圧力をかけずに、酒袋自身の重みで自然に流れ出てくるに任せる。味わい、香りともにもっとも緻密かつバランスのとれた部分であり、鑑評会に出品されるのも、中取りがほとんど。市場には「斗瓶取り」「中取り」などのラベル表示をして、ワンランク上の酒として出荷されるケースが多い。「中垂れ」「中汲み」とも呼ばれる。

責め

酒を搾る行程で、終盤に出てくる原酒。伝統的な圧搾法では、酒袋に入ったもろみのあらかたが搾り終わったら、薄くなった酒袋を積み直し、かける圧力を増していきながらさらに高圧で搾る。この過程が「責槽(せめぶね)」と呼ばれるものであり、押し出されてくる酒を「責め」と呼ぶ。香りのインパクトや味のふくらみは3段階の中で最も薄く、アルコール度はより高め。強い圧力をかけて搾るため、一般的には雑味が出やすい特徴がある。「攻め」「押し」「押し切り」などと表現されることもある。

酒粕

もろみを搾った後、袋に残る搾りかすの部分。たんぱく質、ビタミン、食物繊維などの栄養成分を豊富に含む。最近では酒粕は、その美肌効果にも注目が集まり、健康食品としてはもちろん、化粧品にも使われて引っぱりだこの人気ぶり。形状や原料によって、次のような種類に分けられる。
→板粕(いたかす)
酒を搾り終わった後のもろみに圧力をかけ、搾りかすを袋から取り出した固い板状の酒粕。できたてにつき、まだしっとりと柔らかく、フレッシュな香りがある。甘酒に仕立てて飲んだり、鍋物、汁物に利用。
→練り粕(ねりかす)
板粕をタンクに入れて密閉貯蔵し、半年ほどねかせたもの。麹菌が熟成し、糖化が進んで板粕よりも旨味成分が増す。熟成が進むにつれ、ぽってりと練ったような柔らかさになる。漬物や粕漬けの漬け床に最適。地方によって「踏み込み粕」「土用粕」「留粕」「漬粕」などの呼び名がある。
→吟醸粕(ぎんじょうかす)
大吟醸酒や吟醸酒を搾った後の酒粕。こうした酒では雑味が出ないように、搾り加減をゆるめに抑えるため、粕歩合(使用白米に対する酒粕の重量比)が50%を超えるものもある。米の粒々感が多く残り、フルーティーな香気もたっぷり。白身魚はもちろん、豚バラや鶏もも肉など脂質の多い肉やチーズなどを使った「吟醸粕漬け」は絶品。