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アメリカ、スペイン、中国と、調理法や味つけが異なる料理を日本酒とともに味わってみたが、相性の悪さを感じる料理はなかった。むしろ、今後は日本酒で味わいたいと思わせる料理が必ずあり、このことは日本酒が各国で根づく可能性の高さを示唆しているといえるだろう。
そしてもう一つ、今回のミッションでの収穫は酒器。訪ねた3軒では実際に店で使っているグラスをお借りしたのだが、その形状が料理との相性に大いに影響したのである。アメリカ料理ではアルザスワインなどの酸味が少なく甘味のあるワインに向くグラス。スペイン料理ではシェリーグラス。そして中国料理ではワインや紹興酒に使っているというショートステムの万能ワイングラスである。
「ボウル状のワイングラスでは酒の香りが立ち、猪口とは異なる新たな飲み心地に驚かされました。口の中に酒が行き渡るので、舌をリセットするキレも発揮されたと思います。シェリーグラスのようにすぼまったタイプは、舌の脇に酒が回らないので酒の旨さが際立ちます。それに、ステムのあるグラスのほうが現代の食スタイルでは手を伸ばしやすい。食中酒にステムは必須です」(礒部安志さん)
「グラスで日本酒の印象は変わり、また、その国の料理とグラスは確かに合っていました。既存のイメージにとらわれず、いろいろなグラスで自由に飲む愉しさをもっと広めてもいいのでは」(西村隆さん)
ジョン氏によると、酒器については日本酒を学ぶ外国人から多く寄せられる質問だという。「日本酒はワインのように系統立てることができないほどバラエティー豊かです。一つの形状に絞り込むのは難しいでしょう。ただ、外国人が日本酒に抱いているイメージに“注ぎ足す文化”があります。これは先人が育んできた日本らしい美しい習慣です。これを踏まえて世界を視野に入れた21世紀の食中酒用グラスが誕生したなら、日本酒の魅力はより伝わりやすくなると思います」
各国料理と合う風味とともに、日本の酒文化も世界に向けて発信する。21世紀の食中酒に求められている命題である。






