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一見するとワインのほうが合いそうなメニューだが、結論から言おう。町田プロデューサーをして「最初から最後まで、ワインが欲しいとはまったく思わなかった。お見事!」と言わしめたほど、日本酒との相性がよく、食中酒のある時間が盛り上がる構成だったのである。なかでもジョン氏ならではの日本酒考の最たるものが七輪焼きだ。季節はずれのガーデンパーティーを決行した理由でもあるのだが、焼くのはなんとラムラック(仔羊の背骨付きロース肉)。「自然界の乳酸菌が風味を育む生酛(きもと)造りの酒は、蔵によって強弱はありますが、芯のしっかりとした風味をもっています。この風味とラムが合うんです。ラムの脂は口溶けがよくて軽く、それを炭火でじっくり焼くので、ラム独特の風味が脂でコーティングされて香ばしさが際立ちます」とジョン氏。それをクミン塩か、生姜汁を混ぜた味噌に大葉を散らして味わう。驚くべきはクミン塩で、カレーのスパイスとして必須のクミンシードの香味が、生酛造りによる軽快な酸味と実にしっくりと合うのである。「あえてワイルドな香りをぶつけると、ラムの旨味が引き出されます。生酛造り、ラム、クミン塩。持ち味に共通項があるから、一緒に味わうとお互いのおいしさを高め合うんです」(ジョン氏)










「クミン塩はそれだけでつまみになりそう(笑)。もちろん、大葉を散らした生姜味噌もバツグンにおいしかった。味噌も生酛造りの酒も昔からある日本伝統の味。昔の人もこうやって味噌で酒を楽しんでいたのかな、と考えたら、気持ちが少し豊かになった」(西村隆さん)
「うちでは日本酒といえば魚なので肉、しかもラムが日本酒に合うことに驚きました。北海道出身の私には、ラムときたらジンギスカンでビール。そう信じて疑いませんでしたが、もしかしたらジンギスカンと日本酒は合うのかも。試してみたくなりました」(礒部香保里さん)
「アメリカは豪快な料理ばかりと思っていたので、柑橘の香りを生かしたセビチェの繊細さにびっくり。個人的には発酵食品同士の組み合わせは旨いと思っていて、温野菜に醤油をまぶしてからチーズをからめるアイデアが興味深い。以前、私が衝撃を受けたのはゴルゴンゾーラとイカの塩辛を混ぜたもので、そのときは赤ワインに合わせたのですが、日本酒でもいけそうな気がします」(浜田貴光さん)
ジョン氏の提案。それは大なり小なり、私たちの中に日本酒に対する思い込みがあることを指摘してくれたのである。 「すべてに予想外が隠れていました。庭で開くと聞いてバーベキューは想像していましたが、七輪で、まさかラムとは。セビチェもレモンかなと思ったらライムを使っているし、魚介のスープにはご飯ではなくクスクスが。何かがちょっとずつ違う。それなのにどれも日本酒に合う。日本人にはちょっと思いつかない発想や視点が勉強になりました」(兼平綾子さん)
「日本酒だけなのに、どんどん楽しくなるなんて。料理はもちろん、酒も相乗効果的においしくなっていくから不思議。ビールやワインなしにホームパーティーが成立することに感動」(坂本佳世子さん)





