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町田:私どもの活動に深いご理解を示していただき、ありがとうございます。
ジョン・ゴントナー(以下、ジョン):すばらしい活動です。即答でお引き受けしました。私は、アメリカなどの海外に向けて日本酒の魅力を伝えていますが、日本酒のことを知りたいという人は増えています。しかし、教えることはなかなか難しい世界。日本酒を盛り上げることには大いに興味を感じますし、私も一緒に勉強したいと考えています。
町田:晩酌が日常的だった時代、“食中酒”という言葉はありませんでしたが、食の和洋折衷化、ライフスタイルの変化により、クローズアップされています。
ジョン:欧米ではワインをわざわざ食中酒とは言いません。食中酒という言葉自体が日本独特の表現なのでしょう。英語で言うと……「food-friendly sake」。我ながらいい言葉だと思います(笑)。
町田:昨年の活動を通して、酒造りに関わる方々が注ぎ込む情熱を目の当たりにし、背筋を正す思いで日本酒と料理の相性を考えました。珍味類を対象外としたことで意見交換が活発になされ、魂を揺さぶるほど酒に合う料理として、鍋物、郷土料理をはじめ、洋風の前菜的なものから韓国料理、中国料理、そして和菓子に至るまでをリストアップしました。実際に酒とともに味わってみると、どれも本当に相性がよく、酒が進むのです。
ジョン:ワインより日本酒のほうが多様性があると思います。だから、より料理と合わせやすいし、合う料理が多い。
町田:確かに、赤ワインと青魚の刺身では喧嘩してしまうように、ワインにはまったく相容れない料理があります。ただ、ワインと料理の相性は、ぶどうの種類、産出国や地方さえわかれば、ある程度、合う料理が想像できるのも事実です。
ジョン:ところが日本酒は難しい。必ず例外があります。たとえば五百万石ってこういう感じの酒になるよね、とか、灘の酒ってこういう傾向だよね、と特徴をつかもうとしても、この仮説に収まらない酒が存在するのです。これが日本酒、ひいては日本文化の曖昧さ。悪い意味ではなく、曖昧でいいところ、美徳です。でも、講演などで外国人に日本酒を紹介するときに、この美徳が私の邪魔をします。来日して20年もたつのに、今も言葉には苦労しています。
町田:言葉は文化ですから、日本に暮らしたことのない人には難しいかもしれません。英語などはIかYouか常に主語が明確です。しかし、日本語では相手を重んじるがゆえにぼやかすことも多い。
ジョン:そう、日本の言葉で大好きなのは「ほどほど」です。曖昧にも通じますが、日本酒でいえば、蔵として明確な特徴はあるけれど、例外もある、という感じでしょうか。裏を返せば、柔軟性に富む証しだったり、技術力が高いからこそできること。でも、決してひけらかさない。そういう国の人たちが造る酒ですから、端的に語れるわけはないのです。
町田:なるほど。そういう捉え方をされているのですね。日本人にとって酒は身近すぎるあまり、先入観でガチガチになっています。いや、お恥ずかしい。


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