



町田:たぶん皆さんもそうだと思いますが、最初はやはり日本酒を飲みたい。だから、酒の合間に何かをつまめればいい程度なのですが、そのうち食欲がわいてきて料理を食べたくなる。その料理がおいしいと酒の印象がぐっとよくなって、もっと飲みたくなる。この好循環はきっと日本酒のなせる“力業”なのでしょう。今回は皆さんにとって、いい日本酒がどうしても飲みたくなる、とっておきの料理を披露していただきましたが、ふだんは酒と料理をどう合わせていますか?
廣澤亮輔:わが家には二人にしては大きめなテーブルがありまして、そこに何品か並べて酒を味わう時間が休日の至福です。ちょっとふんぱつした贅沢食材や旬の食材が登場すればなおよし。このように先に食材ありきなので、食中酒はどちらかというと辛めで芳醇すぎず、後口にキレのある酒を選ぶことが多いですね。
藪田昌孝:うちは栓の空いている酒に合わせて料理を考えます。酒は一升瓶で買い求め、少しでも酸化を防ぐように四合瓶に移し替えておきます。だから常に違うタイプの酒が何種類かある状況。料理の味に負けなくて、時間経過による味わいの変化も楽しめる酒が理想的です。
小川健:委員会に参加するまでは山廃仕込みの酸味が苦手だったのですが、「三谷藤夫」の山廃仕込みに出合ったことで、苦手意識は過去の経験から思い込んでいただけだとわかりました。要するに大切なのはバランスで、山廃仕込みの酸味はむしろ飲み飽きさせず、深みのある味は日々のおかずに合います。最近ではすっかりのめりこんでいます(笑)。女房が燗好きなので、せっかく二人で楽しむならと、この冬は燗酒ばかりです。
渡辺ひと美:燗酒、いいですねぇ。山廃仕込みには確かに乳酸の強い酒もありますが、温めると酸味は旨味に変わります。温度の変化をもっとも楽しめるのが山廃仕込みなんです。よく大吟醸で燗をつけるなんてもってのほか、と言う方がいますが、むしろ燗にしたことで飲みやすくなる大吟醸もあります。まだまだ先入観だけで日本酒を理解している人は多い。
中野未知子:それと日本酒が損をしているのは、おいしさゆえに飲みすぎた失敗が多いこと。それがトラウマになってしまう人が多いんです。また、最近の若手は飲まないと言われていますが、実は酒の楽しさを知らないだけ。昨年、職場のチームで出張することが多かったのですが、酒が駄目だった後輩が「お疲れさま」で飲むおいしさに目覚め、今では日本酒パーティーを開いたりしています。こうやって周囲に酒好きが増えていくことに、たまらなく幸せを感じますね(笑)。
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