(本文ここから)

酒造りは「一・麹、二・酛(もと)、三・造り」といわれるが、麹造りは最も重要な工程であり、酒の命を吹き込む神聖な作業である。麹菌を育てる麹室(こうじむろ)は、高い室温と湿度で非常に蒸し暑い。通常は4人で作業するところに、さらに12人が加わるという超過密状態。その中で、蒸米をきっちり四角く広げ、種麹をふる。煙の粒子のように微小な麹菌を酒米に定着させるため、種付け中はもちろん、その後3分間は一切の動きが禁止される。直立不動のまま静寂の時が流れる。作業を最後まできっちり見届けているメンバーたちに、ふと「しんどいでしょう」と語りかける金子専門部長。「この環境に馴れている私たちでもしんどい。でも、手を抜いたら、それだけの酒にしかならないのです」。実に心にしみる言葉である。





(本文ここまで)



