


その翌朝、いよいよ田植えである。三谷杜氏の号令のもと、松竹梅白壁蔵の蔵人たちの手も借りて作業スタート。植える酒米は五百万石だ。「多くの人に味わってもらえる酒を造りたいから、僕は五百万石。それを山廃で仕込みます。酒母が2週間でできる即醸法に比べると2倍の時間を要しますが、飲んで味わい深い酒になる。これは『松竹梅白壁蔵 三谷藤夫』の基本です」と三谷杜氏。苗一本たりとも無駄にはできない、と一同気合いが入る。



3時間後、田植えは終了。すると三谷杜氏の差し入れが届く。奥様の富子さんの手料理の数々と出来たての焼き竹輪だ。そして、田圃の脇を流れる川で杜氏が冷やしておいくれた酒がふるまわれる。「田植えを手伝ってもらった近所の人たちをこうやって労ったものです。こうして飲む酒は旨い。収穫、酒を仕込み終えたときと、節々に飲む酒は本当に旨い。肴は毎日のものでいいんです。健康を気遣ってつくってくれる料理は、酒に合いますから」と茶碗酒を片手に三谷杜氏は笑う。事実、メンバーが奪い合うようにして味わったのは、白飯おにぎりとそれに塗る“赤いの”。酒の肴としておにぎりが大人気という展開には驚かされたが、これが実に旨く、酒に合うのなんの。
料理名がなかったので“赤いの”と呼んでいたが、これは富子さんがご近所の方に教わった保存食「赤唐辛子の漬けたん」と料理番組から思いついた「我流の三升漬け」を混ぜるオリジナル。日本酒委員会ではあまりの旨さに敬意を表し、これを「富ちゃん漬け」と命名。今回の「いただきレシピ」に決定した。
おいしい空気、働いた汗、程よい空腹感など、料理の味わいだけではないプラス要因もあったが、おいしい食中酒、日本酒と料理の相性は三谷杜氏の語る「毎日おいしい」から見えてきそうだ。委員会の活動は次回、酒米の収穫へと続く。





