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名酒を造ることで全国に知られた但馬杜氏の三谷藤夫さん。杜氏になって40年余を数える74歳。醸す酒の風味のよさから県内の杜氏たちから“吟醸杜氏”と呼ばれている。三谷杜氏が陣頭指揮を執っている「松竹梅白壁蔵」シリーズの中でも代表的な「三谷藤夫」の<山廃吟醸>と<山廃純米>。田んぼの脇を流れる岸田川の山からの水は冷たく、酒は程よい温度に冷やされた。

兵庫県北西部、棚田が続く里山。いい酒米が実る土地に育つ食材に、酒が醸される郷土の味。料理と酒の相性を探る第一歩としてまずは、原点に立ち返ってみる。

第1回の活動内容は、会議と田植え。三谷杜氏のご厚意から、丹精するご自身の田んぼで酒米の田植えを体験させてもらうのである。少量とはいえ、三谷杜氏が酒米を栽培し続けているのは、「酒造りの命とされる麹も酛(もと)も米です。米の生育状態を見守りながら今年の仕込みのことを考えられますし、自ら育てることは酒に対する一つのけじめになっています」とのこと。穏やかな語り口から生涯杜氏としての覚悟が伝わってくる。

ところで、海外からの応募もあった中から委員に選考されたのは10名。日本料理に詳しい大阪在住の小川健さん・真弓さんご夫妻、東京と大阪という距離を乗り越えた飲み仲間の中野未知子さんと栢沼美里さん、横浜から参加の新婚ほやほやの廣澤明子さん・亮輔さんご夫妻、趣味で蔵を巡っている大阪の藪田昌孝さん・紀子さんご夫妻、東京で単身赴任中の父を誘った長野在住の吉村結城子さん・哲郎さん親子(各組とも前者が応募人)。いずれ劣らぬ日本酒好きの食いしん坊で、酒に対する思いが痛いほど熱い。

また、第1回ゲストは、唎き酒師と調理師の資格をもつ酒料理研究家にして東京・西麻布「霞町三○一ノ一」を営む渡辺ひと美さん。フリーアナウンサーとして活躍する傍ら、全国の美酒・美味を探し求めている。今回はゲストだが、食のつくり手として今後も委員会に参加してくれることになった。そこで、初めての会議は「どんなに贅を尽くした料理があっても、料理に合う酒がなければ“本当のおいしい”は成立しません。三谷杜氏を囲んで大いに意見交換しましょう」という渡辺さんの挨拶で開会。酒の力もあってたちまち打ち解け、相性は酒と料理のどちらから考えるべきか、温度帯で変わる山廃の風味、酢の物は本当に合うのか、土地に根づく酒と醤油の関係など、検討課題が次々と提起されたのである。


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